夢想譚

過去、現在、未来について日々考えたこと

すてたもんじゃあないぜ!

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Z世代

新型コロナが落ち着き、閉塞された場所から、縛りを失ったバネのように人々は弾み出し、各地の観光地に活気が戻り始め、飲食店にも多くの人が詰めかけ始めた様ですね。

 

しかし、相変わらず経済の先行きは見通せない。それはもちろんだ。経済政策を真っ向から議論する前に、憲法「改正」論議技能実習生の期限なしの可否など、自民党の公約には載っていない議論を足速にやっている始末。たった57兆円の財源で、「バラマキ」だのという議論をしている連中すらいる。そいった「バラマキ」などと言っている連中は、先進諸外国の積極財政を見てどう評するのだろうか?財務省の連中は、米国大統領に向かって「そんなにバラマイたら国家財政が破綻しますよ!」とアドバイスでもしていると言うのだろうか?

 

宮内義彦オリックスシニア・チェアマンの経営者ブログ「「白髪になったオオカミ少年」経済政策の大胆な修正を」を読んでみてほしい。ここのところ財界からまた幾人かの政治家から財務省批判が相次いでいます。そう、あの政務次官の矢野氏の発言がきっかけで、もう我慢の限界だとでも言うかのように財務省に大砲が打ち込まれ始めた。

 

宮内氏は言う。「バブル崩壊以降、日本経済は長期にわたって停滞し、このまま「失われた40年」に突入しつつある昨今です。少子高齢化、人口減少といった課題があるものの、一言でいえば日本社会の活力が失われているのです。これに対し手を打つのが政府の役割であることは言うまでもありません」と。そして、政府の掛け声だけで終わった構造改革、規制改革と、日銀の失策を指摘し、「私は主要通貨を発行する国はインフレにならない限り財政を拡張しても問題ないとするMMT(現代貨幣理論)の考えが正しいと考えます」と表明。

 

しかも、「財政を出動し、より家計にお金を回す。これまでのように企業の投資活動を期待するよりまず消費の活性化をはかり、最終的に供給力増加を生むような経済政策こそ成長と分配の好循環をつくりだすはずです」と、こんなことを言うのは、れいわ新撰組や国民民主党の、少数野党だけだと思っていたら、なんと田原総一郎までが同じことを言い始めた。さあ、財務省や維新の会などはどう反論するのだろうか?

 

さらに「家計にお金を回すにはさまざまな方法があります。全国民一律に一定額を支給する「ベーシックインカム」もその1つでしょう。所得が定められた基準よりも低ければ支給する「負の所得税」といった考え方もあります。今の社会福祉政策の利点をしっかり生かしながら、新しい形に整えていく必要があります。……人間らしく生きる権利を保障するとともに、需要を喚起し経済を回す力がないといけません。」と続く。

 

最後に「好ましい分配政策をつくり出すのは政府の責任です」ですよ。

 

これが財界からの叫び?です。これってわたしを含めて一般大衆が届けるべき声ですよね。さて一体どうなっているのやら。自民党では、財政政策検討本部本部長に就任された西田昌司参議院議員MMT理論支持者です。れいわ新撰組や国民民主党は、なるべく多くの積極財政派を集め、党派闘争ではく共同戦線を張って、財務省に積極財政を展開し具体的な経済政策及び社会保障政策案を提出させるべく楔を打ち込むべきではないでしょうか?

 

では、日本経済に目を向けてみると、2001年から新型コロナウイルス危機前の19年までの日本の経済成長率は年平均0.8%にとどま李ました。米国(2.1%)や英国(1.8%)に水をあけられてしまいました。この20年間で設備の総量を示す資本ストックは1割たらずしか増えなかったし、米国や英国が5~6割ほど伸びたのと大きな差がついてしまった。企業が利益を国内投資に振り向けていないことが原因だと考えられます。 

 

日本企業は稼ぎを減らしてきたわけではない。財務省の法人企業統計調査によると、経常利益の直近のピークは2018年度の84兆円。アベノミクスが始まった2012年度から73%増えています。この間、設備投資は42%しか増えておらず、日本は2010年代、人口減にもかかわらず労働供給は拡大しています。就業者は10年間で378万人増え、特に女性や65歳以上の働き手が多くなったのです。

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さて、これらをみてどう言うことが考えるでしょう。結局、労働生産性を向上させるための投資を行わず、割安な労働力の投入を増やしてきたと言うことでしょう。教育訓練など人的資本への投資も伸び悩んでいる。OECDによると、企業が生み出した付加価値額に対する人材投資の比率は英国が9%、米国が7%に達するのに対して、日本は3%にすぎない。ヒトとモノにお金をかけて成長を目指す当たり前の発想が全く欠けている様に見えます。

 

ところが、海外では積極的にお金を使っています。対外直接投資はコロナ前の19年に28兆円と10年前の4倍に膨らんでいますし、コロナ後も流れは変わらないままです。大手メーカーは、海外のIT企業を巨額で買収するなど、各社が成長の種を外に求める結果、投資が細る国内市場は成長しにくくなるのです。海外で稼いだお金を海外で再投資する傾向もあります。

 

そうなると、国内に何が残るのでしょうか?大企業は、グローバルの名の下に日本を捨て海外に逃げていくのでしょうか?そりゃあそだろう、国内には需要も購買力もないわけですから。あるのは、非正規などの安価な労働力だです。しかも政府は技能実習生の「在留期限なし」を実現して安価な労働力を供給しようとしています。つまり、総合的「低賃金の沈め石」政策ではないでしょうか?わたしたちは、「仕事欲しければ技能実習生並みで我慢してください」と言われる様になるかもしれません。

 

早急に宮内さんの言うように「人間らしく生きる権利を保障するとともに、需要を喚起し経済を回す力」を創成する必要があります。そして、大胆に産業の再編成をして投資を促し、産業を生き返らせる必要があると思います。

 

わたしには、一条の光も見えます。それは、疲弊しているかの様に見えるZ世代も含めた若者の存在です。彼らは、わたしのような年寄りよりももっともっとSDGsへの積極的な取り組みや経済的弱者へ手を差し伸べるパワーを見せています。しかも、流石にSNS世代、志をシェアしたり空間を超えて手を結んだりする術を活用しています。

 

CRRA(シーラ:一般社団法人炭素回収技術研究機構)の機構長に就任した村木風海さんをみてください。「火星に行きたい」という少年の夢を諦めずに「ひっやしー」という直接空気回収マシーンを発明した。そんな研究はやめた方が良いよ」という周りの干渉を物ともせずだ。球温暖化を止める方法から人類の火星移住の実現まで一貫して研究を行っている。彼はまさにZ世代です。農業の分野でも、例えば無農薬作物を作るとか作られなくなった伝統的な作物を復活させるなどの目標で同世代の若者が集まり合うグループが増加しています。

 

我々「年寄り」が足元にも及ばないほど積極果敢に、より良き日本を創成するために活動しています。彼らには私たちとは異なる素晴らしい「常識」があるのではなかろうか?あとは、社会がそれらの芽をなるべく多く見出して、投資をすることが大事です。その一条の光に心から期待を寄せて!

 

では次回まで